平成30年7月5日
産業経済委員会
◆小野峯生委員 それでは、私のほうから、今、帆苅委員からも多面的機能支払交付金について質問がありましたけれども、そちらのほうから入らせていただきます。
今ほど、いろいろとその効果あるいはメリット、これまでの取組等々について、地域のコミュニティーの活性化が進んだとか、それからその中で、新しい組織体等々ができてきたというふうなこと。それから、ネックとしては、やはり事務的なものをやる人がなかなかいなくなってきているというふうなこと。大まかに言うとそういうことで、これからいろいろなことを進めると。さらに広域化を進めて、取組数の増加を図っていくというふうなことと、理解をさせていただきました。
1点確認なのですけれども、この6月末に農林水産省が、平成29年度の取組を取りまとめて発表しておりますが、それだと本県の農地維持支払は、取組組織数が 1,067組織、その内、広域取組をしているところは 134組織で、面積は12万 4,201ヘクタールです。資源向上支払は、取組組織数が 870組織です。その内、広域が 134組織で、面積が11万 9,652ヘクタールというふうに、統計上はなっているというふうに承知しております。今ほど、農村環境課長のほうからいろいろ説明があったのですが、取組組織数は最初、減っていったのです。平成28年度から平成29年度は。面積は少し増えている。横ばい状況です。大体、こんな状態がここ最近です。行き着くところまで行き着いたというふうなこともあるのだけれども、おおよそですよ。そうなのですが、平成29年度の取組について、農地部の担当課長としての評価は、いかがなものなのでしょうか。その辺から伺いたいと思います。
◎石本伊佐雄農村環境課長 取組の評価でございます。今ほど委員が言われたとおり、取組面積は約12万 4,000ヘクタールということで、北海道に次いで全国2位ということで、かなり上位にあります。あと、取組率が、先ほど帆苅委員のときに、取組率は全国何位くらいかと聞かれて、少し答えるのを忘れていたのですが、全国4位ということで、どちらも全国上位のところに位置しているので、熱心に取組が行われているというふうには感じております。農村地域では担い手への集積が行われて、それに伴って担い手の負担が増えていますので、やはり地域住民が一緒になって、農地・農業用施設を維持・保全していくと。そういうことが、担い手の負担軽減にもつながりますし、またそういう活動を通じて、話し合いなどが活発になって、地域コミュニティーを活性化していくというふうに考えております。
◆小野峯生委員 それで、昨年度ですが、この多面的機能支払交付金についての、いわゆる中間評価というものが国から出されていますけれども、この多面的機能支払交付金のいろいろな目的については、おおよそ達成されていると。非常にいい結果といいますか、それぞれの都道府県の取組状況の中でも、評価が出ているわけです。そういうところも含めて、おおよそうまくいっているというふうな評価だというふうに認識はしているのですが、その辺は農村環境課長として、わが県の取組について、先ほどからいろいろな話がありましたけれども、国の評価あるいは県の評価委員会というものがあるのですか。その評価は出ているのですが、そういうふうなことと一致するということの理解でよろしいですか。
◎石本伊佐雄農村環境課長 今、委員が言われたとおり、県としても取組が進んでいるというふうに、評価しているところでございます。
◆小野峯生委員 まあ、全国上位の2位、4位というふうなことであります。先ほども申し上げましたが、取組組織数がここのところ、やはり横ばい、減っているという中で取組面積は、多少増えたと。まあ、横ばいと言ったほうがいいのかもしれませんが、見ていると、そうなっているのですけれども、先ほど話した、やはり集落の人数が減少しているだとか、その辺も非常にあるのだというふうに思っております。その辺の、先ほども話した事務作業がネックと。でも、この場合はだんだん、当初の農地・水・環境保全向上対策の時点から評価すると、だいぶ楽になっていますよね。簡素化されてきているのです。
そういった中で、いつも話しているのですが、私の地元の集落でも、子供も女性もお年寄りもみんな、ほとんど出てきます。これからまた、来週の土曜日か日曜日、草刈り作業等々もあって、朝、午前5時から作業ですが、それが終わると、午前9時くらいから、子供やPTAだとかがまた来て、植栽をしたり、いろいろなことをやりますというふうなことで、そういう機会も非常に増えています。それで、やはりいろいろ、年に1回ですが、一緒に全員が集まって、お話ししたりするのです。集落は六十二、三軒なのです。そういった集落に失礼かもしれませんが、1月に総会をやると、集落の総会でも来る人がうんと多いというふうなこともあって、その辺は非常に評価していて、便利にまあまあやっているわけですけれども、この取組組織数の減少。そして、面積がほぼ横ばいというふうな減少の原因というのは、どの辺にあるとお考えですか。
◎石本伊佐雄農村環境課長 先ほど帆苅委員のところでも、取組拡大に向けてどういうふうにやっているかということを、少し御回答させていただいたのですが、やはり皆さんが取り組めないというのは、先ほども言ったように事務負担があって、少しやれないというところで、今、広域化というところを県として進めております。やはり1集落ではなかなか、そういう事務をやる人を見付けられないけれども、そういう集落が集まってやれば、事務をやる人も見付けられるということと、大きくまとまれば外部委託もできますし、専任の事務の人も雇えるというようなこともございますので、今、県としては広域化を進めており、それで取組組織数が減っています。一方で、やはりそういう広域化を図ることで、今まで取り組んでいない集落が入ってきて、面積は年々、若干ではございますが、増えているような状況でございます。
◆小野峯生委員 意地が悪いような質問をしてしまうのだけれども、この前身は、先ほども少し話だけお聞きしましたが、農地・水・環境保全向上対策でした。その昔、平成19年度からスタートして、それが歴史とともに、時代とともに、国の方針によるところがあったりして、農地・水保全管理支払交付金になって、今は多面的機能支払交付金と、こういうふうにたどるのですが、そういった中で、平成19年度からスタートしたと。拡充も徐々にされてきているのですが、そういった中で、多分あると思うのですが、やはり全国的には集落がなくなるというか、消滅というか、機能が失われたところがだいぶ出てきて、それが10パーセントか、15パーセントになっていまして、この多面的機能支払交付金が、その辺のところにも効果が非常に出ているというような、中間評価のしかたもあるのです。そういった中で、新潟県の場合、平成19年度からスタートして、そういうふうな集落の状況の中で、例えて言えば、うちのほうではもう、集落の戸数が少なくなってきて、そこの区長さんに、村上市からいろいろと全部行くわけです。区長の仕事もあるし、そのほか民生委員だとか、人権何とか委員だとかというふうなのが、全部一人のところに行ってしまうのです。耐え切れなくなっているところが、やはりあるのです。けっこうあって、そういうところも含めて集落がなくなって、やむなくリタイアした集落だとか、あるいは集落の戸数が少なくなって、広域化せざるをえなかったというふうなことです。そういうふうな要因で、リタイアしたとか、抜けたと。あるいは、再出発を広域化したというふうなものは、どういうふうに集約して、どの程度あるのか、お分かりだったら教えてください。
◎石本伊佐雄農村環境課長 平成19年度から始まった、農地・水・環境保全向上対策が、多面的機能支払交付金に変わったのですけれども、これは5年単位ごとに計画を作って活動するということで、第1期は平成19年度から平成23年度でした。このときは、この活動を取りやめた組織はありませんでした。それで、平成24年度から平成28年度が第2期になるのですが、途中で多面的機能支払交付金という名前に変わりましたけれども、これが終わった段階で平成29年度に入るときに、取組をやめたのが8組織でございます。それは大体、組織の取組面積が10ヘクタールから20ヘクタールくらいの、中山間地域の山合いの活動組織がほとんどでございます。取組の中止の理由を聞いてみますと、事務担当のなりて不足とか、活動する人が少なくなったとかというふうに聞いておりますので、やはりその背景には集落の高齢化とか、戸数の減少があるのではないかなというふうには想像しております。
◆小野峯生委員 まさに国の中間評価によって、その結論もそういうふうに、やはり組み立てているわけですよね。指摘しているわけです。本当に非常に広がりがあって、効果もあるのだけれども、やはりこれからの課題は過疎化、高齢化です。その中で、どうやってリーダーを維持していって、育てていくかということ。これは、事務的負担ということも含めてなのだと思いますが、それをきちんとしていかないと、この制度そのものが組み立てられなくなるのではないかというふうなことが、将来に向けてあるわけです。これは、この多面的機能支払交付金だけで、みんな維持できるものではないのですが、人口減少社会、高齢化社会の全体的な中で、やはりこの多面的機能支払交付金も、組み立てていかなければいけないと思います。先ほどから本県は広域化、広域化というふうなことを言っているのですが、そういうふうな取組を、きちんとしていっていただきたいと思っているのですけれども、その辺の考え方はいかがでしょうか。
◎石本伊佐雄農村環境課長 委員が言われた、国で出された課題については、県でも活動組織に対してアンケートを取って、活動を継続していくには何が課題ですかと質問して、答えていただくと、やはり地域リーダーの育成というものが、1番めに挙がってきます。今はまだ活動しているけれども、将来的にやはり地域リーダーがいなくなる、高齢化してきてできなくなるというようなところが懸念されております。ですので、国や県でリーダー育成研修もやっておりますし、そういうものを活用して次世代のリーダーを育成するとともに、あと集落の戸数が少なくなって活動できなくなるところは、やはり広域化をすることで、隣の集落から助けてもらえるようにするなど、取組を進めて活動が継続できるように、図っていきたいと考えております。
◆小野峯生委員 それでは、2点めの質問に移ります。先ほどから予算の確保等々の中で、長寿命化対策等のことも話が出ているのですが、土地改良施設の公共施設等総合管理計画の策定も進んでいるわけです。これは、総務省からのいろいろな要請等々もあって、農地部の施設だけではなくて、いろいろな総合的な県の持ち物、建物等々について全部、計画を作りなさいというふうなことになっているのです。申し上げますと、国が平成25年に決定したインフラ長寿命化基本計画を受けた格好で、平成26年に、県の所管する施設の維持管理、あるいは更新を進めるための中間的な取組の方向性を明らかにする行動計画として、県も作成しているわけです。その行動計画に基づいた、いわゆる個別施設ごとの具体的な対応方針を決める、個別施設計画を策定することになっているのです。農地部所管施設の 149施設が、この計画の中で指導されているわけでありますけれども、農地部では先駆けてもう平成14年度から、いわゆる機能保全計画を策定しているのですが、現状、どのように進んでいますでしょうか。お答え願います。
◎江村英樹農地建設課長 公共施設等総合管理計画におけます、土地改良施設の状況についてお答えをいたします。委員御指摘のとおり、計画に位置づけられている施設は 149施設ございます。土地改良施設の多くは、土地改良区等へ財産を譲与するものですけれども、この 149施設は県が水利権を所有している施設ということで、県有施設という位置づけになっております。この 149施設につきまして、平成29年度までに 123施設の個別施設計画、私どもでは機能保全計画というふうに申し上げていますが、それらを作っております。残りの26施設につきましても、本年度中に、すべて策定する予定でございます。なお、これまでに策定したこの 123施設の内、平成29年度までに補修ですとか、補強といった対策工事を実施しようというふうに計画されているものは、65施設ございます。この内、地元の合意を頂きながら、対策に着手していますのは28施設でございまして、率にしておおよそ4割という状況でございます。
◆小野峯生委員 総務省が、やはりこの効果を気にして、また計画をはっきりさせて、いわゆる県議会の中の議論の材料とか、あるいは県民に対する理解だとかと。私の中にもう一つ、これをはっきりさせてほしいということは、このことに対する早急な国の地方財政措置です。それから別枠で、やはりお金がものすごくかかるのです。これはやはり、別枠で応募しなければいけないというふうに思っております。財務省を説得させる材料としても、そういうふうなものは非常に大事なことだと思っているという観点から伺います。今、農地建設課長から答弁がありましたが、この基本的な考え方には適切な維持管理、そうすると補修、更新も行うことで、いわゆる予防保全的な補修によって、長寿命化を図っていくということなのですけれども、いわゆる効率的な工事、予算執行を行って、費用の抑制と予算の平準化を図るというふうなことが基本なのです。
今のところ、平成14年度から、機能保全計画が進められているのですが、平成29年度の進捗(しんちょく)率は、今、56パーセントと伺っています。ここのところは本当に、先ほどの帆苅委員の話ではありませんが、皆さんがたの御努力等々によって、農地部関係の予算を非常に確保していただいてるというふうに強調していて、計画よりは前倒しで、いろいろなことをやり始めているというふうなことも承知しています。この費用のことなのですが、耐用年数が過ぎた際に、単純更新をした場合の費用と、事業を行った場合の経費の差というものがあります。そこの効果について、きちんとしなさいよというふうな通知が来ているはずなのですが、今まで行った中の事業の効果額は。今、私が言った、耐用年数で単純更新した場合と比べて、どういうふうになっているのか、その効果について伺いたいと思います。
◎江村英樹農地建設課長 これまでに実施しました、老朽化対策事業の効果額についてお答えをいたします。耐用年数が到来した施設に限定をして、さらに機能保全計画に基づきまして県営事業を実施して、平成29年度までに事業が完了したものに限定をさせていただいて、お答えさせていただきます。今ほど申し上げた条件に合致しますのは、2施設ございます。この二つの施設を単純更新した場合の事業費は、約9億円でございました。一方で、この2施設につきまして、これまでに補修ですとか補強等に投じた事業費が、約3億円ということになっております。ただ、これに加えまして、計画期間は今後40年間、この施設のライフサイクルを長持ちさせるという目的でやっておりますけれども、その中ではまた、その後に補修ですとか補強の費用が、必要になってまいります。そういったものを、先ほどの3億円に加えますと、6億 5,000万円の補修費用が必要になってまいります。繰り返しになりますが、単純更新した場合は9億円です。補修、補強等で延命化を図った場合は6億 5,000万円です。その差額は2億 5,000万円ということになりますので、おおむね3割ほどのコスト縮減が、試算としては出てまいります。ただ、施設の種類によって、その金額につきましては、かなり上下するだろうなという認識をしておりますけれども、一定程度のコスト縮減効果はあるものというふうに認識しております。
◆小野峯生委員 あまり少ないからなのでしょうけれども。今、皆さんがたが立てた県営施設の機能保全計画は、平成29年度の策定率は91.7パーセントということであります。機能保全計画で完了した施設の予防保全に係る計画が完了したと。その費用はどれくらいになるのか。単純に更新した場合にはどれくらいになるか、その試算額について、現状のところで伺いたいと思います。
◎江村英樹農地建設課長 委員のお尋ねは、これまでに県が造成した施設に対してのお尋ねだと思います。これまで、県が造成した施設で機能保全計画を策定した施設が、 1,146施設ございます。こちらの予防保全に係る経費につきましては、土地改良区等で施設を管理しているということ。それから、今後どうやって、この施設の改修費用を平準化していくかということ。さらには、平準化をすることによって、事業費にどういう影響があるかといったことをいろいろ考慮して、現在、集計作業を行っているところでございます。また、しかるべきときになりましたら、公表させていただきたいと思いますので、いましばらく猶予をちょうだいしたいと思います。この 1,146施設でございますけれども、さまざまな施設がありまして、補強のみを繰り返していく施設もかなり多くございます。そういった施設につきましては、今、委員お尋ねの、単純更新したときの費用は、また別途算定をする必要がございまして、その算定に時間を要する状況でございますので、改めてそちらについてもお示しさせていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
◆小野峯生委員 その老朽化対策等々についてですが、いわゆる国の農地分は、先ほど話したように、本当におかげさまでこうなってきていて、やりやすい環境があるのかもしれませんが、そのほかも含めて、やはり将来のいわゆる国の財政負担も減るわけですから、削減できるというふうな状況下にあって、やはり地方財政措置の拡充、強化を図らなければいけないというふうに考えています。予算の別枠ということも考えながら、やはりやらなければいけないのだと思っていますが、今の現状とそれから、これからやはりどうするべきかということも含めて、そこの考え方を皆さんがたに最後に伺って、終わりたいと思います。
◎江村英樹農地建設課長 委員御指摘のとおり、わが新潟県には非常に多くの農業水利施設、土地改良施設があります。これらの施設が40年、50年たって、その機能が確保されなくなっていくということに対しましては、機能保全計画を速やかに作って、事があってからではなくて、しっかりと事前に予防保全という考え方を、ぜひ地域の皆さんからも御理解していただいて、しっかりと進めていかなくてはいけないと考えております。併せて、委員御指摘のとおり、これらの施設の改修、更新費用の確保に向けては、しっかりと対応していく必要があると考えております。