平成30年 9月定例会 産業経済委員会

平成30年10月3日
産業経済委員会

◆小野峯生委員 それでは、私のほうからも、何点か伺いたいと思います。
 まず、先ほど、帆苅委員のほうからの質問で、答弁もされたわけでありますけれども、国の概算要求が決まったわけでありますが、金額は 5,305億円で、対前年度比で 122パーセントということです。その内容も、説明があったとおり、担い手への農地集積・集約化の加速化、強い農業のための基盤づくりとスマート農業の実現だとか、農山漁村の活性化などとしているわけです。本県の課題であるほ場整備の推進、老朽化対策、あるいは農地防災等、わが県は非常に多くの課題が山積しているといった中で、基本的姿勢だとか、力を入れる点について、先ほどお伺いしましたけれども、この概算要求を踏まえて、例えば、帆苅委員も言っていたのですが、県財政も非常に厳しい。それぞれの事業にどうも影響も出てきそうだといった、今、そういう状態にあるということが一つ。
 それから、もう一つ、国も今までは、補正予算もあって、当初予算もずっとこうあって、その中で、例えば皆さんがたは戦略的という言葉を使われていたのですが、どういう基本的姿勢だとか、そういうものではなくて、やはり戦略を持ってやらなければいけない。今まで以上の戦略を持たなければ、多分、いけないのだろうと思っているわけです。今までだと、例えば補正予算でほ場整備をやるよと国が示せば、そこを集中的に取りにいってという姿勢があったわけですよね。当初予算では防災が増えそうだというときは、では、当初予算では防災、補正予算ではこれというふうなことのねらい撃ちといいますか、そういうふうな格好でやっていたと思います。そういった中で、答弁が重なるかもしれないのですが、その概算要求を踏まえて、戦略的にどう要求するのか、県財政当局との詰めもあるということも含めて伺いたい。
 それから、帆苅委員への答弁が少しあって、関連する部分もあるので、もう一つ、一緒に聞かせていただきます。農地の集積・集約化も、国の概算要求で、農家負担を非常に軽減するという意味で、いろいろな事業の充実が図られているというふうに認識をしています。特に、今年度から始まった農地中間管理機構関連農地整備事業をはじめとして、農家負担軽減策が拡充されているというふうに認識しているのですが、今ほどの答弁だと、農林水産部もそうなのですけれども、県は農地中間管理機構を通じた担い手への集積面積の目標は、他県は8割なのですが、わが県は時に9割ということなのです。これを目指して、農地中間管理機構の強化等々を図っているわけですが、他県に比べて本県の集積率は高い目標を掲げているわけですけれども、これに比すと非常に、まだ全然低いと。目標に達していないということで、乖離(かいり)しているわけですが、先ほどの答弁によりますと、今のほ場整備面積は、継続中が 2,900ヘクタール、調査中が 2,300ヘクタールで、 5,200ヘクタールだと。90パーセントだと、 4,680ヘクタールになりますから、大体、その程度の集約を目指すということなのです。
 今、それぞれのところから申請されているほ場整備は、申請事業ですから。これは、平成35年度まで取っているのでしょうか、平成36年度まででしょうか。今の新潟県農業農村整備の展開方向は、平成36年度までになっているのだと思いますが、その申請事業はどの程度あって、その内、集積は多分、90パーセントでしょうか。どの程度の面積を見込めるのでしょうか。その辺を伺いたいと思いますが、先ほどの帆苅委員への答弁と重複しているのであれば、重複しているというふうな話でけっこうなのですけれども、確認も含めて伺いたいと思います。2点です。

◎坪谷満久技監(農地部) 概算要求を踏まえて、どのような姿勢で要求していくかということでございます。委員がおっしゃったように、戦略的にやっていくというところは、そのとおりだと思っておりますし、当然、効果が早期に発現できるところなり、その地域の実態を見まして、予算の配分をしていきたいというふうに思っております。また、やはり重点的にやっていくという中では、先ほど出ましたけれども、この間策定しました新潟県農業農村整備の展開方向に基づいた形での課題解決に向けて、事業が少しでも進捗するように、進めていきたいというふうに思っております。当然、当初予算だけでなくて、補正予算も絡めた中で、進めていくということであります。補正予算につきましては、ある程度の柱立てといいますか、目標、また目指すところがありますので、そこの部分に沿った形の事業を積極的に活用していって、補正予算と当初予算のどちらでも取れないことがないように、しっかりと進めていきたいなというふうに思っております。

◎大嶋良夫農地計画課長 委員から2点めにお尋ねの、ほ場整備の要望面積と集積の目標についてでございます。新潟県農業農村整備の展開方向の計画期間は、平成29年度から平成36年度の8年間となっておりますが、現在承知しております、今後新たに要望をしている面積は約 9,900ヘクタールとなっております。その内、平成33年度着工要望地区までが集積計画を策定しておりまして、その要望面積は 3,551ヘクタールです。集積目標面積は 3,355ヘクタールで、集積率は94.5パーセントとなっております。

◆小野峯生委員 今ほど、話もさせていただいたのですが、昨年の土地改良法の改正を受けて、本年度から新規事業として農地中間管理機構関連農地整備事業がスタートしているわけですけれども、初年度であります。
 これは、農地中間管理機構が農地を借り受けてもなかなか、ほ場整備、水路等の整備が行き届いていない、老朽化も進んでいる等々で、受け手がいないということですよね。そういうことで、農地所有者には整備する負担がもう無理だというふうなことで、日々、なかなか集められないというふうなことから、この制度を設けられたというふうに認識しているのですが、このことに対するまずは農地部の受け止めと、それから昨年度、全国でどの程度この事業がと。これは、農家負担がゼロですから。採択条件が非常に厳しいということもあるのですが、そういった中で全国的に、これは正しいのかどうか分からないのですけれども、16道県の33地区が今年度で採択されているということなのです。この辺、間違いがあるかどうかも含めて、全国でどの程度採択されているのか。あるいは、本県で採択されているのかどうか。あったら、その辺のところの地区数だとか、具体名だとかを教えられるなら、伺いたいと思います。

◎大嶋良夫農地計画課長 委員御指摘のとおり、この農地中間管理機構関連農地整備事業につきましては、基盤整備が十分ではない農地について、担い手が借り受けないおそれがあること。また、小規模な農家は、基盤整備のための費用を負担する用意がないことから、農家の費用負担や同意を求めずに、基盤整備を行うことができるよう創設されたものでございまして、本事業の活用により、担い手への農地集積・集約化が進むものと認識しております。
 一方、本事業は、事前にすべての農地について、農地中間管理権の設定が必要でありまして、あらかじめ関係者の合意形成を十分に図ることが重要であると、受け止めているところでございます。
 また、委員お尋ねの、平成30年度に全国でこの事業で採択された地区数につきましては、委員がおっしゃるとおり、33地区でございます。本県では、2地区が採択されたところでございます。

◆小野峯生委員 本県は2地区ということですが、その採択要件が厳しいという話をさせていただきます。具体的に、この事業は、整備対象の全農地の農地中間管理機構への貸し出し、それから貸付期間として、事業計画の公告日から15年以上貸し付けなければいけない。それから、集積面積は、平場で10ヘクタール以上、中山間地域等で5ヘクタール以上と。この辺はいいかもしれませんが、整備してからの話でありますけれども、事業完了後5年以内に、8割以上を担い手に集約しなければいけないと。収益も、20パーセント以上引き上げる計画が必要と。そういう意味では、農家負担がゼロということですので、大変厳しい要件になっているというふうに受け止めているのですが、農家の負担はないとはいえ、理解を得るのは非常に難しいのだと思うのです。そういった中で、県がどんなふうにかかわって、この採択要件をクリアして、地元との合意形成を得たうえで、今、始まっているのか、その辺のところをまず伺いたいと思います。

◎大嶋良夫農地計画課長 今年度に採択されました2地区については、委員御指摘のとおり、初めての地区ということで、我々もノウハウがない中で、進めざるをえなかったところでございます。けれども、土地改良区それから農地中間管理機構と連携をいたしまして、この事業制度の趣旨、それからクリアすべき条件を丁寧に説明をして、御了解いただいたうえで、事前にすべての農地中間管理権を設定し、また集積・集約化の目標の80パーセントについても、将来的にはクリアできるということで、合意形成が図られました。
 収益性の向上についても、地域で園芸に取り組むことで、クリアするめどが立ったということで申請をいたしまして、今回、採択されたものであるというふうに考えております。

◆小野峯生委員 これは多分、そういうことが2地区なりで進んでいくと、ほかのこれから整備計画をするところに、波及していかなければいけないのだと思います。もう、農家は本当に負担を負えないような状況下にあると思います。
 農地集積は9割を目指すというふうなことなのですが、この事業では将来的に8割となっているのですけれども、この事業を進めるに当たっても、集積目標というものがやはり必要になるのだと思います。これも、やはり9割なのでしょうと思うのですが、どれくらいの面積を目標とするのか。平成35年度までのこの新規要望地域で、平成36年度もあるのですが、要望地区の面積と、今、申請が上がっている農地の内、この事業で担い手への集積をどれくらい見込めるのか。その辺は、どういうふうに考えていますか。
◎大嶋良夫農地計画課長 この事業の集積の目標についてでございます。本事業は、事前にすべての農地に農地中間管理権を設定して、担い手に集積することを目的としている事業でございますので、基本的にはすべての農地を担い手に集積することを、目標とすべきであるというふうに考えております。
 平成35年度までの本県の新規要望地区は、現在、37ヘクタールございまして、現状においては、すべて担い手に集積する見込みとなっております。

◆小野峯生委員 ぜひ、農家から理解を得る中で、とにかく非常に難しい事業ではあるけれども進めていただくように、それぞれ皆さんは苦労されるのでしょうが、土地改良区等とも十分にすり合わせをしながら、進めていっていただければと思っております。
 不安の一つとして、そのようなことはないのだと思うのですが、負担がゼロになるような事業が始まるよという話をすると、どうもそれは農地を自分たちの了解なく差し上げなければいけないのではないか、農地中間管理権を設定しなければいけないのではないかと。その辺がやはり、先祖代々の土地というかなのでしょうが、その辺のことで不安が起きているわけです。これに、農地中間管理権を設定しなければいけないわけですが、換地がありますから、そのようなことはないだろうと思っていますけれども、この辺のところはきちっと説明をして理解を得ながら、関係なく進めるのではなくて、当然するのだろうと思っています。そこの考え方について、伺いたいと思います。

◎大嶋良夫農地計画課長 本事業の実施に当たりましては、農業者の同意が不要とされておりますけれども、農地中間管理機構は、農地中間管理権を取得する際及び貸し付けの相手方に対して転貸する際に、基盤整備が行われうる旨をしっかりと説明することが必要だとされております。
 また、換地処分の際には、これまでのほ場整備と同様に、関係者全員の同意が必要とされているところでございます。このようなことから、関係者に対して事前にしっかりと説明を行い、了解を得たうえで事業に着手するなど、農家が不安を感じたりすることがないように、慎重かつ丁寧にこの事業を進めてまいりたいと考えております。

◆小野峯生委員 それで、何回も話をしているのですが、農家あるいはこの土地改良区の、事業の負担金がなかなか大変です。償還金制度も、平準化だとかたくさんありますけれども、いろいろな事業で、農家負担もだんだん少なくなっていると。それは分かるのですが、なかなか出し切れない。出せない。特に、預けているわけだから、そういう意識が薄れていってしまうのは、当然なのです。そうだとすると、今度、ほかの事業についても、やはりいろいろと工夫をしながら弾力的な運用、あるいは国もきちっと農家負担をいろいろな意味でもっと軽減してと。特に農地中間管理機構への預け入れの場合は、ほかの細々とした事業があるのだけれども、なかなか進まないのです。そういうことで、その辺のところをきちっと国に要望し、あるいは県でもこの財政負担が、財政は厳しいかもしれませんが、その辺のところももっと積極的に、農家負担の軽減策を図っていかなければならない。これは、集積しないとなかなか進まない。ほかの事業も含めて、その辺のところに力を入れていただきたいというわけですが、伺いたいと思います。
◎大嶋良夫農地計画課長 農家の負担軽減への対応についてでございますけれども、ほ場整備事業につきましては、現在も集積・集約の割合に応じて促進費が助成されるなどの、農家負担を軽減する制度が創設されております。
 また、今ほどお話のありました、農地中間管理機構関連農地整備事業では、当初から農家負担がゼロ、農家負担を求めずに、基盤整備が実施できる事業として創設されました。
 また、防災・減災対策では、事業自体ではこれまでも、農家負担の軽減がだいぶ図られてきておりますが、調査計画段階においても、国がその費用を定額で補助することで、農家の負担を軽減する制度拡充がされております。
 本県におきましては、農家の減少、高齢化が進む中で、今後も農業農村整備を進めていく必要があるというふうに考えておりまして、農地集積によって担い手の負担が増加することが想定されますので、一層の農家負担の軽減が図られる事業制度の拡充などを、国に働きかけてまいりたいと考えております。

◆小野峯生委員 まだ、ほかに質問予定者がたくさんいるようでありますので、最後に、説明いただきました防災重点ため池の緊急点検で、1点だけ。説明いただいた中で、今後、防災重点ため池を追加指定するということですが、いつまでくらいに指定されるのか。それから、ため池の数、そしてソフトではなくてハードのほうの整備方針を伺って、終わりたいと思います。

◎江村英樹農地建設課長 防災重点ため池の追加指定ということでございます。今回、緊急点検を行ったため池の中には、防災重点ため池を含めて 1,215か所を点検させていただいたわけでございます。すでに指定済みの 120か所以外で、今回の緊急点検の結果、下流の人家、公共施設に大きな被害を及ぼすおそれがある、あるいは流下能力等が不足するといったことが判明したものが、新たに34か所ございます。これらのため池につきましては、今後、市町村と協議をしたうえで、防災重点ため池に追加をする予定としております。一方で、現在、国のほうでは、防災重点ため池の指定基準の見直しを行っているところでございます。今後、こちらの結果も踏まえて、県としても追加指定の見直しを進めていく必要があると考えております。
 次に、今後の整備方針でございます。まず、ハード整備に関しましては、この34か所の詳細調査を実施したうえで、洪水吐の改修等、必要な整備を順次進めていく必要があると考えております。併せて、ソフト対策も重要であると考えておりまして、まずはハザードマップの作成が、事前の減災対策には極めて有効であろうというふうに考えております。ですので、市町村による作成を速やかに進め、またため池の管理者と、それから下流の住民の皆さんの情報伝達体制がしっかりと構築できるように、指導を強化してまいりたいと考えております。

◆小野峯生委員 今、国の指定基準が見直されるということでありますが、何か具体的にどういう基準の改正というか、皆さんがたにも、部分的でも情報が入っているわけですか。これから国が考えていくことでしょうか。

◎江村英樹農地建設課長 現在の指定基準は、どちらかといいますと、規模の大きいため池を指定するような基準となっております。例えば、堤体の高さですとか、貯水量の規模です。
 一方で、現在、見直しをしている詳細な内容については、まだ県のほうに情報はございませんが、それらよりも比較的規模の小さいものも含める方向で、見直しが図られているのではないかというふうに予想しております。

◆小野峯生委員 指定基準が改正されて、数は増えるというふうなことの理解でよろしいですか。その辺のところは対応を早くしていただいて、安全・安心について、皆さんがたがきっちりと対応していただくように、委員として要望して、終わります。

◆小島晋委員 それでは、何点か質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、この平成30年7月豪雨で県が国に先だつ緊急点検をされたということと、最終的に 1,215か所を緊急点検されたということで、大変お疲れさまでございました。8月末までということで、期間が限られている中で、この 1,215か所の緊急点検をやったということで非常に、日々の業務を持ちながら対応していただいたことに、感謝を申し上げたいというふうに思います。
 それで、私のほうも、ため池について何点か質問をさせていただきたいと思います。まずは、やはり平成30年7月豪雨で、農業用ため池の決壊によって、近隣住宅に被害が出たということであります。豪雨時の放水に対して、こういった放水のタイミングですとか、そういった近隣住民に知らせるですとか、県のマニュアルか何かを整備されているのか、お伺いしたいと思います。

◎江村英樹農地建設課長 豪雨時における緊急放流等のマニュアルという御質問かと思います。現在、県には独自のマニュアルはございません。農林水産省のほうで策定しております、ため池管理マニュアルのほうを活用して、ため池管理者の皆様に対して、適切な維持管理の周知を行っているところでございます。
 この、ため池管理マニュアルでございますが、大雨、洪水あるいは地震時において、決壊が予想される場合は、緊急放流を行って、安全確保に努めるというふうに定められております。また、こういった際、二次災害を防止するために下流住民、それから市町村等の関係機関と十分に連絡調整を行うこととされております。