令和4年2月定例会_建設公安委員会 03月07日-03号

P.1 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 おはようございます。それでは、今ほど土木部長から説明を頂きました、新潟県土木部社会資本維持管理計画について、それからこの計画と関係の深い、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策について、若干伺いたいと思います。
 今ほどお話がございました計画でありますが、ちょうど私も所属しておりました平成26年6月定例会の建設公安委員会で説明を頂いた記憶がございます。ただ、計画の策定が始まったのはその年の4月からになるのでしょうか。そのおりにいろいろ質問をさせていただいた経緯もあったと記憶しておりますが、それによりますと、橋梁(きょうりょう)、トンネル、河川施設をはじめ12の土木部所管施設についての計画であったと。以後、約8年たつわけでありますが、今回の計画改定について、まずはこれまでの評価から始めなければいけないと思っています。それに基づいて新しい計画が出るのだろうと思っておりますので、まずは、現計画の評価について伺いたいと思います。

P.1 ◎答弁 棚橋元技監(土木部)

◎棚橋元技監(土木部) 平成26年度に策定いたしました土木部社会資本維持管理計画の評価についてでありますが、この計画は、従来の対症療法的な事後保全型の管理手法だけでなく、予防保全型の管理を取り入れることにより、施設の長寿命化やトータルコストの縮減及び予算の平準化を目指してきたところであります。
 評価といたしましては、現計画によって、施設点検の基準など実施方法の明確化を図ったことで、施設の健全度について、客観的で統一的な把握や管理につながったものと考えております。また、機能不全や大規模な補修が必要となる前の段階で、施設の劣化状況に応じた措置を講じる取組につながるなど、継続的なPDCAサイクルの構築が図られたものと評価をしております。

P.2 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 頑張っていただいて、それなりの評価、成果があったということだと思います。この計画では、トンネル、橋梁は設置後50年、河川施設については40年経過したものを高齢化施設や老朽化施設と。20年後に高齢化施設が急速に増加するというふうなことでありました。それで、今ほど話した適正な維持管理を図らない場合、県民生活に大きな影響を及ぼすということから、事後保全型から予防保全型の管理手法を使い分けることによって、長寿命化やコスト縮減、予算の平準化等が図られるのだということでありましたけれども、これまでの具体的な取組実績について伺いたいと思います。

P.2 ◎答弁 棚橋元技監(土木部)

◎棚橋元技監(土木部) 現計画におけるこれまでの実績についてでありますが、現計画における方針に基づきまして、予防保全型の管理に取り組んでまいりましたけれども、平成30年度には点検が一巡し、施設の健全度の全体像を把握できたところであります。その結果、予防保全型の管理水準を下回る、早期に補修、更新の必要な施設が多数存在していることが判明いたしました。予防保全型へ本格的に転換するには、まず、これらの施設の補修、更新を早期に講じる必要がありまして、優先的に取り組んできたところであります。
 具体的な実績といたしましては、平成26年度から令和2年度までの7年間において、橋梁では 794橋、トンネルでは 141か所、河川施設のポンプや水門等では37か所に着手するなど、着実な老朽化対策の推進に努めてきたところであります。

P.2 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 そうしますと、点検が一巡した段階ですぐに補修しなければいけないものが多数見つかったということで、それに基づいて鋭意取り組んできたと。橋梁が7年間で 794橋、トンネルでは 141か所の実績を上げたということであります。
 そこで、改定計画の財源は、皆さんがたから先ほど説明がありましたとおり、5か年加速化対策を最大限活用するということでありますが、現計画に比べてどの程度の進度を見込んでいるのか。それで、この計画期間は令和3年度から令和7年度までの5か年でありますが、事業費についてはどの程度が見込まれるのか。どの程度が必要になるのかについて、伺いたいと思います。

P.2 ◎答弁 棚橋元技監(土木部)

◎棚橋元技監(土木部) このたび改定いたします計画において見込んでおります進度等についてでありますが、令和3年度から令和7年度までの5年間で、橋梁では 844橋、トンネルでは 125か所、河川施設のポンプや水門等では59か所の着手を予定しており、年平均の着手箇所の数で現計画と比較いたしますと、橋梁では約 1.5倍、トンネルでは約 1.2倍、ポンプ、水門等の河川施設では約 2.2倍の進度を見込んでおります。また、本計画を推進するための予算は、令和3年度から令和7年度の年平均で 370億円強を見込んでおりまして、国の5か年加速化対策を最大限活用しながら進めてまいりたいと考えております。

P.3 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 そうしますと、平均 370億円強を見込んでいると。これは記憶が少しあいまいな部分があるのですけれども、当時、30年間で見込まれる全体の金額が約1兆 3,000億円で、年間約 430億円だったかを見込んでいたのです。けれども、平均 370億円強でありますから、今、非常に県財政が厳しきおりでありますが、そういった中でもそれに近い予算を費やしていくという意気込みととらえてよろしいでしょうか。

P.3 ◎答弁 棚橋元技監(土木部)

◎棚橋元技監(土木部) この事業費の見込み、見通しにつきましては、国の5か年加速化対策等の有利な財源を最大限活用する等の工夫をいたしまして、できる限りの事業費を見込んだと考えております。

P.3 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 今ほど申し上げましたけれども、達成に向けて、当然、新潟県行財政改革行動計画公債費負担適正化計画等の縛りがあるわけです。防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が始まる前の、平成30年度当初予算の実負担を10パーセント減と。そういった中で、技監の説明ですと、最大限活用すると。それはそのとおりだと思います。それしかないと思っています。そういうふうな中で、最大限活用するにしても、やはり課題があると。なかなか難しいと。最大限といってもはっきり確約されるものでもないわけでありますけれども、これを達成するためには課題があろうかと思いますが、その辺について伺いたいと思います。

P.3 ◎答弁 棚橋元技監(土木部)

◎棚橋元技監(土木部) 新計画における課題についてですけれども、今ほど委員からお話がございましたとおり、公債費負担適正化計画のもと、老朽化対策を推進するために必要な予算の確保が、やはり大きな課題であると考えております。県といたしましては、5か年加速化対策において、今年度から老朽化対策が新たに対象とされましたことから、計画の実施に当たっては事業費の最大化に努めるとともに、施設の健全度及び重要度等から優先度を定めて、計画的な補修、更新に取り組むこととしております。また、老朽化対策を着実に推進するためには、国の有利な財源措置が必要不可欠と考えておりまして、この5か年加速化対策終了後も同様の支援が継続されるように、機会をとらえて国に要望してまいりたいと考えております。

P.3 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 当時、技術的に予防保全型の維持だとか管理だとかの修繕のやり方について、歴史的にそういう経験がなかったということで、劣化がどこまで進むかとか、データの蓄積がなかったということも含めて、コスト縮減につながる工法の確立等は、なかなか開発ができていなかったと。その辺のところについて、新計画ではなくて現計画を進めていく中で、たしかそういうふうなものの確立も目指していきたいのだという話があったかと思うのですが、そこはどうなっていますか。教えていただけますか。

P.4 ◎答弁 棚橋元技監(土木部)

◎棚橋元技監(土木部) 技術的な課題ということで、その内、劣化予測等に関する技術開発等についてでありますけれども、本県の特性といたしまして、非常に塩害の影響を受けやすく、施設の劣化の進度が速いということがございます。このため、本県の特性を踏まえた劣化予測を行うためには、実際の施設の点検データが必要になってくると考えております。また劣化予測は、時点が異なる複数の点検データの数が増えるほど精度が向上しております。したがいまして、現在、多くの施設で2巡めの点検に入っておりますが、今後も予測の精度向上のために継続的な点検によるデータの蓄積が必要と考えております。
 施設の点検や診断などにつきましては、ドローンですとか非破壊検査、あるいはロボット等の新技術の開発が進んでおりまして、これらを活用した効率的、高度化された点検手法も広まりつつあり、随時そういったものを活用しながら進めてきているところであります。また、国土交通省においては、施設管理者ニーズと技術シーズのマッチング支援を行うなど、コスト縮減につながる工法などの導入、普及に向けた取組がされております。引き続き劣化予測の精度が向上するよう、計画的な点検を継続して、劣化予測に必要なデータの蓄積に取り組むとともに、国の技術開発状況を注視する中で、新たな技術を活用して生産性の向上、経費節減に努めてまいりたいと考えております。

P.4 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 新技術もそれなりに進んできて、これで一通りの点検結果が出ているということであります。そして、先のことで恐縮ですが、5か年加速化対策後もやはり国に同じようなものをお願いしていくのだ、要望していくのだということであります。それも大事でありますが、今ほどいろいろな答弁を伺っておりますと、点検結果が出たことや、技術的に新しい進歩もありますし、それから何と言っても人口減少と。将来推計は減るわけですから、そういったことも踏まえて、新たな長期計画を策定するということも必要になってくるのではないかと思っております。その辺の取組方針について伺いたいと思います。

P.4 ◎答弁 棚橋元技監(土木部)

◎棚橋元技監(土木部) 今後の長期的な見通し等についてであります。委員御指摘のとおり、今後も老朽化する施設の増加が見込まれることから、中長期的な視点で計画を示すということは重要であると認識しております。また一方で、国の5か年加速化対策後の動向や施設のさらなる老朽化の進行、それから人口減少、少子高齢化の進展等、環境変化などの前提条件が今後大きく変動することが考えられ、不確定要素が多いことから、現段階においては30年後の費用やコスト縮減額を示すことは難しいと考えております。
 県といたしましては、将来を見据え、今回改定する計画に基づいて、継続的にPDCAサイクルを回していくとともに、今後も社会情勢等、前提条件の変化を的確にとらえて、適宜計画の見直しを行う中で、持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

P.5 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 次に、平成30年度の補正予算から3か年緊急対策に取り組んでいるわけでありますけれども、まずこの実績について伺います。特に、私が県民からの要望がいちばん強いと思っている河川の伐木、それから河床掘削等については、だいぶやっていただいたという実感がありますが、その辺の3か年緊急対策における実績も含めて伺いたいと思います。

P.5 ◎答弁 加納行弘河川管理課長

◎加納行弘河川管理課長 3か年緊急対策による河床掘削、伐木の実績についてでありますが、平成30年11月に実施しました重要インフラ緊急点検では、県管理河川の内、樹木繁茂や土砂堆積(たいせき)により、洪水はんらんの危険性がある河川として 452河川を抽出しております。
 この内、県では、国の3か年緊急対策により、洪水時に浸水被害の影響が大きい箇所を中心に 292河川、総額約 210億円を投じ、河川改修を含む樹木伐採や掘削等を集中的に実施いたしました。その結果、緊急点検で抽出しました河川の約6割の進捗(しんちょく)を図ったところでございます。対策を実施した箇所では、住民の皆様から安心感が飛躍的に高まったなど、効果を実感する声を頂いているところでございます。

P.5 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 約6割という数値が果たしてどうなのかということはありますが、とりあえず、目に見えていますので、住民の皆さんの評価が高いです。
 5か年加速化対策についても、常々皆さんがたの答弁で承知しているのですが、これを最大限利用しながらやっていくということでありますけれども、5か年加速化対策の中での伐木や河床掘削の事業実施予定について伺いたいと思います。また、今後の対応については、それこそ国に要望していくということでありますが、やはりただ要望するだけでは国もなかなか納得してくれないものがあります。きちんと理論武装しながら要望していかなければだめだと思っていますが、そこを含めて、この2点について伺って質問を終わりたいと思います。

P.5 ◎答弁 加納行弘河川管理課長

◎加納行弘河川管理課長 5か年加速化対策による河床掘削、伐木の実施予定についてでございますが、3か年緊急対策に続き、令和2年度補正予算から、国の5か年加速化対策を活用した河床掘削、伐木を実施しており、このたび、令和3年度補正予算にも計上したところでございます。
 一方、全国で相次ぐ河川はんらん等を踏まえ、地方公共団体が維持管理として行うしゅんせつ等への財政支援として、令和2年度に国が緊急浚渫推進事業債を創設し、本県においても積極的に活用しているところでございます。県といたしましては、5か年加速化対策と併せてこの有利な起債制度も最大限に活用し、3か年緊急対策後に残った危険箇所の早期解消を図るとともに、日常の巡視等で新たに確認された危険箇所の解消にも取り組んでまいります。

P.6 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 国への予算要望はただ単にやるだけではだめでしょうというところについて、皆さんがたの御答弁をお願いします。

P.6 ◎答弁 加納行弘河川管理課長

◎加納行弘河川管理課長 国への予算要望に関しまして、まずは実績等で見ていただく、ビジュアル的に見てもらうような形、また、地域から頂いている声などもしっかり伝えていこうと思っております。

P.6 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 そういうことももちろん大事なのだけれども、ただくださいというだけでは、今後、国もアフターコロナを含めて大変厳しくなってくると思います。そういったことで、要望するにもやはり戦略というものが必要だと思います。そういうことについて伺いたいのですが、その辺のところはどのように考えていますか。本当はもうやっていなければいけないのだと思うのですが。

P.6 ◎答弁 金子法泰土木部長

◎金子法泰土木部長 新型コロナウイルス感染症で国の財政状況も厳しい中ではありますけれども、一方で、防災・減災、国土強靱(きょうじん)化を進める必要があると、激甚化、頻発化している豪雨災害や、あるいは老朽化対策は喫緊の課題であると思っております。知事も本会議の中でお話ししましたけれども、国の5か年加速化対策終了後も、継続的に防災対策や老朽化対策に取り組んでいく必要があると述べられております。
 では、どうやって財源を確保していくかということでございますけれども、県ではこれまで、国に政府要望として、機会があるごとに防災・減災、国土強靱化を進めるための予算確保及び地方負担の軽減というものを要望しております。春あるいは秋に政府の来年度予算要望が行われる時期はもとより、そのほかにも機会があるごとにお伝えをしているところです。この機会があるごとにお示ししている資料につきましては、こういう箇所がまだありますと。こういう箇所とは、例えば、県民の皆様の安全・安心を確保するために必要な箇所、あるいは経済活動を支えるうえで、リダンダンシーを確保することに基づいてやっていかなければならない道路ネットワークの整備などです。
 もう一つは老朽化対策というものがあろうかと思いますけれども、こういう部分の必要性と、また、これを行った暁にはどういう効果が出てくるのかと。我々、そして市町村の皆さんも強靱化というものをしっかり進めなければ、まちづくりという面で非常に危うくなってくると思います。国、県、市町村、そして委員がたの御支援も頂きながら、国に強く働きかけていくということが重要であると思っております。ですので、我々も機会があるごとに国のほうに資料を作り説明してまいりますけれども、ぜひとも委員がたからも御支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。