令和3年2月定例会_建設公安委員会 03月11日-06号

P.1 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 おはようございます。私のほうから、ただいま説明があった新潟県企業局経営戦略(案)について、若干質問させていただきたいと思います。今ほど説明を頂きました現計画は、この電力業界、電力の環境を取り巻く変化、今ほど説明がございましたけれども、電力システムの改革に伴う卸規制による総括原価方式から料金設定が競争原理に基づいた入札に売電方式が変わったと。それで、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の開始が今の計画期間で、取り巻く環境の大変大きな変化であったというふうに思っておりますが、その変化に対応しながら安定的な利益を上げてきたというふうに私も評価をしております。まずは、新計画を作るに当たり、現計画について、どう総括しているのか伺いたいと思います。

P.1 ◎答弁 古田芳久次長(企業局)

◎古田芳久次長(企業局) これまでの電気事業の総括ということでございますが、今ほど委員からお話がありましたけれども、私から具体的な数字でお答えしたいと思います。私ども企業局におきましては、平成27年度の売電契約から一般競争入札を実施することによりまして、入札に切り替える前の平成26年度と比較してみると、平成27年度以降の5年間におきまして、年平均30億円あまりの増収となっているところでございます。このような増収によりまして、企業局としまして、令和元年度までに合計72億円あまりを一般会計へ繰り出してきているところでございます。また、令和2年度におきましても30億円を繰り出す予定としているところでございます。また、委員御指摘のとおり、再生可能エネルギーの普及拡大を目的としましたFIT制度を活用した水力発電所、太陽光発電所の建設やリニューアルを順次実施してきまして、脱炭素社会への転換に貢献するとともに、長期にわたり高い利益を確保するよう努めてきたところでございます。
 私ども企業局としましては、これまでも電気事業を取り巻く環境の変化に対して柔軟に対応することによりまして、公営企業としての役割でございます公共の福祉の増進に寄与できたのではないかと考えているところでございます。

P.2 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 いろいろ説明いただきました。皆さんがたがそれぞれに対応して、企業局の皆さんは時々に非常に戦略的な意味も込めて頑張ってきたものというふうに思っております。今、説明がありましたけれども、今や企業局からの一般会計への繰り出しがいちばん求められているという時期でもあります。この常任委員会でもいろいろと議論があったところでもありますから、新計画の中でも環境をきちんと、また変化をとらえながら、ますますいろいろな社会福祉だとか、新潟県の社会に貢献できるようにということであります。新計画では、今も話に出た環境の変化に柔軟に対応しながら、今後の持続可能な経営の確立を目指すということでありますけれども、今まさに国、県もそうでありますが、カーボンニュートラル、脱炭素社会への転換に貢献していくのだというふうな記述もあるわけであります。この新計画では、今度は10か年での環境の変化を、皆さんがたはどのようにとらえて、また、脱炭素社会に、これは県も計画を立てたところであり戦略を立てたところでありますけれども、具体的にどのようなことで貢献して行くつもりか、その辺のところを含めて伺いたいと思います。

P.2 ◎答弁 古田芳久次長(企業局)

◎古田芳久次長(企業局) まず、脱炭素社会への転換に向けた環境の変化についての考え方ということでございますが、いわゆるエネルギー供給構造高度化法によりまして、電気事業者に対して非化石エネルギー源の利用の促進が義務づけられております。一定規模以上の小売電気事業者が自ら供給する電気の非化石電源比率を、2030年度には44パーセント以上にすることが求められているところでございます。また、事業で使用いたしますエネルギーを 100パーセント再生可能エネルギーにするということを宣言した企業の連合体でございますRE 100に加盟する企業が、日本においても増加しているところでございます。企業局といたしましても、脱炭素社会への転換が進むにつれて、水力発電など再生可能エネルギーに対する需要がますます高まるということが期待されますことから、今後も引き続き情報収集、分析を行って的確に対応してまいりたいと考えております。
 また、脱炭素社会への転換に対する貢献の具体策ということでございますが、企業局におきましては、現在、13か所の水力発電所と2か所の太陽光発電所で運転を行っております。令和元年度の実績で申しますと、一般家庭の約21万世帯分に相当する6億 2,000万キロワットアワーあまりの二酸化炭素を排出しない電力を供給しているところでございまして、脱炭素社会に貢献しているものというふうに考えております。その中で、まず、私どもとしては、既存の発電施設の修繕、それから更新を計画的に行いまして、水力発電、太陽光発電による再生可能エネルギーの供給力を持続的に確保するとともに、これまで培ってきました技術あるいはノウハウを生かして、安定的に電力を供給し続けることで、脱炭素社会への転換に貢献してまいりたいというふうに考えているところでございます。

P.3 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 いろいろな説明をありがとうございました。それで、話が戻るようなことになるかもしれませんが、県の財政は大変厳しいです。先ほど話してもらったように、地域振興積立金から一般会計への繰り出しを求められているという現状で、新しくカーボンニュートラル、脱炭素社会への貢献として今、十分に貢献をしていると。引き続き、修繕や大規模改修などをやりながら、あるいは蓄えた技術を発揮しながらということでありますけれども、大規模改修、修繕等々は別としても、この計画自体、持続的発展というふうなことをうたわれているのです。こういうご時世だからしかたないのかもしれませんが、あるいは国から求められていないのかもしれませんけれども、大規模修繕とかというものではなくて、やはりもう一歩進んだ新しい意欲的な投資の中での新しい事業展開で貢献をできないかなと。他県も大体似たような計画で、健全にやっていこうという話なのだとは思いますが、その辺が考えようによっては戦略という意味では少し欠けていて、新潟県らしいといえば新潟県らしいなと。申し訳ありませんが、そういうふうな気持ちもしないではないのでありますけれども、その辺についての新たな事業展開については、どのように考えているのでしょうか。

P.3 ◎答弁 古田芳久次長(企業局)

◎古田芳久次長(企業局) 今ほど委員からお話がありましたとおり、一般会計が大変苦しいということで、私どもも精いっぱい頑張っているわけですが、その苦しい中でも、私どもにとっても効率的な経営に努めるとともに、やはりできるだけ多くの利益を上げまして、地域振興積立金に積み立てることによりまして、今後も一般会計に対して、できる限り協力していきたいという思いは持っているところでございます。そのためには、やはり安定した運転を継続しまして、健全経営を維持することが必要となりますので、既設の水力発電所の計画的な設備更新や修繕を行うとともに、FIT制度を活用したリニューアルの実施などに、まずは注力したいというふうに考えております。再生可能エネルギーを取り巻く環境の変化も予想されますので、引き続き情報収集に努め、新たな事業展開の可能性についても研究してまいりたいというふうに考えているところでございます。

P.3 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 今の県の状態を考えるとそのほうが、現状においてはいいのかなというふうな気もしておりますが、それともう一つ、蓄えた技術的なことを利用していく、活用していくというふうなことでありますけれども、県によっては小水力発電と。わが県はまだまだ進んでいないところがあるようでありますが、そういった企業局で蓄えた技術を、まさに支援するという意味で、例えば、土地改良区だとかあるいは市町村へ提供する、技術力で支援していくと。これもやはり違った意味の、技術を通じての社会貢献、地域貢献に大きな意味があるというふうに思っているのですが、この辺の小水力発電に、わが県は少し話が進んでいるようには思いますけれども、実際にこうしたいというふうなことも聞いています。この可能性について、企業局は、いろいろと調査もしているというふうに承っておりますが、その技術の提供という意味も含めて、その可能性について伺いたいと思います。

P.4 ◎答弁 田中勝施設課長

◎田中勝施設課長 小水力発電の可能性についてですが、平成28年度から令和元年度にかけまして、おおむね数百キロワット程度以上の規模の中小水力発電につきまして、新規開発の可能性調査というものを行ってきたところでございます。可能性調査では、過去の調査での候補地点、それから既設の砂防堰堤(えんてい)を利用した地点が約 170か所になりますけれども、そこから優位性が見込まれる2地点を最終的に選定いたしまして、計画の検討をいたしましたが、令和3年度にFIT制度が終了するという条件のもとでは、採算性の面で少し厳しいという状況となったところでございます。しかしながら、開発地点の再検討ですとか、FIT制度後の新たな補助制度の内容によっては、採算性を持って開発可能な地点もあるものと考えておりまして、引き続き調査を継続していきたいというふうに考えております。
 それで、市町村等に対する技術協力ということも、今のところまだ検討はしておりませんが、今後、開発地点を検討する中で、その辺も含めて検討していきたいというふうに考えております。

P.4 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 分かりました。その他の、水力発電以外でも皆さんがたは研究だとか新たな可能性については常々、こういうふうな現在の状況は別としても、やはり調査なり検討を十分に今後とも進めていっていただきたいというふうに思っておりますが、その辺のところはどう進めるのか、伺いたいと思います。

P.4 ◎答弁 市川雅英技監(企業局)

◎市川雅英技監(企業局) 新たな事業の展開に関する調査等についてでございますが、委員御指摘のとおり、常に新たな事業の可能性について調査・検討していくということは非常に大切なことでありますし、今後の地域振興への一層の貢献であるとか、脱炭素社会への転換に貢献していくうえで非常に重要であると認識しております。このため、今ほど施設課長からお答えしたとおり、小水力発電開発の調査を継続しているところでございます。また、新しい発電所の開発以外でも、例えば既設の発電所を大規模に更新する際に、出力を増加させるであるとか、効率のよい水車発電機を採用することによって、更新前と同じ水の量でもより多くの電力を生み出すことができるというような可能性もあることから、これらについても検討を行いながら採算性を高めてまいりたいと考えております。

P.4 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 次に、工業用地造成事業に移りたいと思います。当初の計画策定後ですが、産業構造や、今の計画案の中でうたわれているのですけれども、産業構造や経済環境の大きな変化により分譲価格が低迷したと。それまでの総括原価方式でずっとやってきたと。我々の時代というか、我々が県議会議員になったときにはもう総括原価方式でずっとやっていくのだと。それが当然の姿のように、当たり前の姿というふうなことであったのですが、これを断念したという経緯があろうかと思います。それで、当初価格での売却を断念して分譲価格を2回にわたって値下げしたと。その欠損、資本不足を解消するため、一般会計から、これは多額の金額なのですが、平成20年度から令和9年度までで合計約 153億円という大きなお金を一般会計の繰り入れを受けるというふうな状況で、ここのところは今日まで順調にいっていると思っているのですけれども、そういうふうにしてやってきたということです。
 そのために、新しい計画では分譲を令和8年度までに今の3工業団地の売れていない残地、約43ヘクタールあるというふうなことでありますが、その売却を目指すということであります。その約43ヘクタールの内、約30ヘクタールを太陽光発電パネルでだいぶ埋めたのですが、東部産業団地が残っているわけです。ここをやはり計画どおり令和8年度までにきちんと売却することが第一義的な目標だと思っています。当然、そうなるというふうなことだと思っていますが、この売却の見込み、その戦略について、ここはどうしても売るのだと、売却するのだというふうなことも含めて、伺いたいと思います。

P.5 ◎答弁 藤井操営業企画課長

◎藤井操営業企画課長 東部産業団地の分譲見込みと戦略についてでございますが、東部産業団地につきましては、委員も御懸念されるとおり、これまで分譲にかなり苦戦をしてきたというような状況でございます。今年度はこのような状況にありまして、2件、 1.9ヘクタールの分譲にとどまっているところではございますけれども、昨年度は 4.7ヘクタールの分譲ということで、この2年間、令和元年度と今年度の2年間で、利用率につきましては平成30年度末の64.8パーセントから、現在71.2パーセントということで、 6.4ポイント上昇したところでございます。この最近の分譲につきましては、まず、東部産業団地が持っております特徴の、地盤が強固で分譲価格が低廉であること、また、令和4年をめどに、現在、国道49号の水原バイパスの整備というものが進んで、新潟市へのアクセスがさらに良好になるということが評価をされたものというふうに考えておりまして、現在においても複数の企業と折衝を継続しているところでございます。現在、新型コロナウイルス感染症の影響で企業の設備投資につきましては、当面慎重な動きが続くというふうに見込まれているところでございますが、今ほど申し上げました東部産業団地の優位性をさらに多くの企業にアピールしながら、団地周辺の産業集積や交通インフラ等の立地環境が生かされる金属加工、あるいは物流等の関連企業をターゲットに、地元の阿賀野市や関係機関と連携して、誘致活動に取り組んでまいりたいと考えております。

P.6 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 昨年度と今年度の2年で利用率が 6.4ポイントアップしていると。約30ヘクタールで、6年あるから、そのペースをきちんと守っていけば売り切れるということですよね。売り切れると。ただ、今ほどおっしゃったとおり、これはなかなか難しい、今まで本当に低迷していたと。そこで苦肉の策で太陽光パネルで埋め尽くすと、半分近く埋め尽くしたというふうな経緯もあるわけです。それで、短絡的なのですが、ほかの場所でも、ほうっておくよりも何かに活用していたほうがいいのだというふうなことで、前の前の知事がそういう発想で太陽光パネルで埋めたわけであります。敷き詰めたわけでありますが、東部産業団地も含めて、新たな投資は慎重なのだけれども、太陽光発電を企業局で新たな戦略としてやっていくという発想も、当然、戦略として考えられるわけであります。今のことについて、その状況です。国のFIT制度だとかというふうな状況も含めて、県の考え方を伺いたいというふうに思います。

P.6 ◎答弁 藤井操営業企画課長

◎藤井操営業企画課長 新たな太陽光発電所の計画ということでございますが、現在の買取価格あるいは建設コストというものを勘案しながら、電気事業として採算が取れるという場合には増設というものも検討に入ってくるというふうに考えております。しかしながら、現時点でFIT制度による買取価格が相当に下落しているということから、太陽光発電所の増設は、現状のFIT制度の価格のもとでは難しいのではないかというふうに考えております。

P.6 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 第4章の経営戦略の進行管理及び見直しに関する事項ということで、このPDCAサイクルというのですか、毎年度評価すると。次年度以降の取組に反映するということ。それから中間の検証見直しについて、5年後をめどに中間の検証を行うということなのですが、これは皆さんがたの事業の評価ですよね。やっている評価というものは局内でもいろいろとあると思うのですが、今、どうやっているか伺いたいと思います。評価についてです。現計画における毎年の進行状況とか進み具合、進捗(しんちょく)だとかというふうなことについての局内の評価をどういうふうにやっているかを伺いたいと思います。

P.6 ◎答弁 古田芳久次長(企業局)

◎古田芳久次長(企業局) 経営戦略の前の、現段階の毎年度の評価ということでございますが、毎年度いろいろな、局内の局議というものがございます。課長と事業所長、みんなが集まって、年度ごとの実績といいますか、そういうものも含めて報告しながら、課題等を洗い出して、また翌年度につなげると。今までそういうことでやってきましたが、今度は経営戦略というものが目標としてきちんとできますので、それを目指して、毎年度きちんとした形で評価できるようにそれを見直してやっていきたいというふうに考えております。

P.6 ◆質問 小野峯生委員

◆小野峯生委員 最後でありますが、そのことを聞きたいと思ったのであります。他県でもやはりその新しい戦略の中で、専門家を委員とする第三者の評価委員会を設置して意見を聞いたり、あるいは毎年の検討、それから何年に1回、新たなことをする場合に第三者の評価委員会を設けて、それで透明性を確保していくだとか、経営にもさらに優位性を確保していくだとか、反省点も含めてなのですが、そういった組織を置くというふうな県もあるわけであります。今の御答弁だと、そういうふうな理解で、大体方向性としてよろしいのでしょうか。最後に県の新たな計画の中での評価だとか透明性の確保について伺って終わります。

P.7 ◎答弁 古田芳久次長(企業局)

◎古田芳久次長(企業局) まず、有識者から意見を伺うような委員会等の設置ということについての御質問だと思うのですけれども、近県の長野県とか群馬県などでは、大学教授等も入れました有識者を構成委員としまして、委員会等を設置しております。私どもは今回の経営戦略の策定に当たりましては、有識者で構成する委員会という形式ではございませんでしたが、やはり大事なのは、今の経営の実績に基づきまして、今の状況を分析するということが必要だと思いましたので、大学教授等の外部有識者から経営分析をしっかりやっていただきまして、課題等についてアドバイスを頂いたということで、そういうものを踏まえた中で経営戦略の策定を進めてきているところでございます。その中で、今回はこのような形で経営の分析というところに重点を置いて御意見を伺ったわけです。先ほど申しましたとおり、経営戦略については5年後をめどに中間の検証を行っていきますので、必要に応じまして、そのときに見直すということでございます。その際に、やはり経営状況などによっては有識者による委員会等の設置をして、いろいろと検証していくということも必要かと思いますので、そのときにまた、いろいろと検討してまいりたいというふうに思っております。